めぐみちゃんの靴

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くつ

お父さんが入浴しているところへ、娘のめぐみちゃんが靴を持ってきて洗い始めました。

「おばあちゃんが洗ってくれたのだけれど、ちっとも汚れが取れていないの」と、不平を言いながら洗っています。

お母さんは「どうして最初から自分で洗わないの」としかっています。

しかし、入浴していたお父さんのしかり方は、お母さんとは違っていました。

「そのまま二、三日はいてから洗いなさい。一度も履かないで洗ってはいけないよ。めぐみも自分で洗った靴を一度も履かないで洗われたらイヤな気分がするでしょう。まして歳をとったおばあちゃんが洗ってくれたのだから、ありがとうと言って、二、三日はいてからにしなさい・・・」

 さらに、「おばあちゃんに、歳をとって靴も満足に洗えなくなったと落胆させてはいけないよ。おばあちゃんが歳をとっても靴を洗ってくれるなんて、よくよくめぐみがかわいいからじゃないのかな。本当ならめぐみがおばあちゃんの仕事を手伝ってあげるのが人間の道ではないのか。それをおばあちゃんの洗ってくれたものが気に入らないからといって洗い直しをするというのでは、おばあちゃんに悪いではないか。人間の好意は素直に受け取るものだよ」

 めぐみちゃんは泣きながらうなずいて、お風呂場から出て行きました。
(林覚乗さんの講話から)