初任給の使い方

Share on Facebook
Share on LinkedIn

ある経営者の方からお聞きした話です。

ある信用金庫の女性新入社員。初任給は親孝行で使おうと、ご両親を、普段いかないレストランに連れて行った。

お母さんは、前日から美容室にいって上機嫌。しかし、お父さんは、レストランでも、ブスっとしたまま。お店で、娘さんが「何を怒っているの」ときくと、お父さん「1回の晩飯で、おれが苦労して育てた20年間が帳消しになると思ったら、大間違いだぞ」

 娘さんは「ムッ」 でも、せっかくの日だからと押さえる。

しばらく、天井を見つめていたしてお父さんが言う。「ビールくらい飲んでいいか」。

 コップがくると、もったまま、注がれるのを待っている。

「だれが、注ぐもんか」と、しばらくそのまま。

しょうがないなと思って、彼女がお酌をしようとした、そのとき。お父さんの手に、20年間勤めたセメント工場での白い粉が、しわと毛穴にビッシリ詰まっているのに、気づいたそうです。娘さんは「お父さん、ゴメンネ」と言いたかったけれど、口にできませんでした。

自宅に帰ったその夜、娘さんが、トイレに行こうとして両親の部屋の前を通ると、障子越しに両親の会話が。
お母さんが「今日はすてきだった」と何回も水を向け、お父さんに「よかった」を言わせようとしている。お父さんは、またどうせ悪口を言おうとしているのだと思った。

 お父さんは、まさか娘がいるとは思わないので、お母さんに言ったそうです。

「おれも、50いくつになるけれど、こんなおいしいご飯ははじめてだ。あいつの顔を見ていたら、涙があふれそうになったんで、天井しか見れなかった。なあ、おまえ。本当にいい娘に育ったなあ」

娘さんは、そこから先に足が進みませんでした。部屋に帰って、ふとんをかぶり、明け方まで泣き続けたそうです。